SGLT2阻害薬カナグル錠の適応追加承認

2022年6月20日、田辺三菱製薬株式会社が、SGLT2阻害薬「カナグル®錠100mg」について日本におけるⅡ型糖尿病を合併する慢性腎臓病の適応追加承認を取得したと発表しました。

カナグル錠とは?

田辺三菱製薬株式会社が開発したカナグル錠(国際一般名:カナグリフロジン)は、糖の再取り込みを促す物質SGLT2の働きを阻害することで血糖値を下げるⅡ型糖尿病治療薬です。
主成分としてカナグリフロジン水和物が配合されています。
国内で6番目に開発されたSGLT阻害薬であり、2014年9月から正式に販売が開始されました。
現在では40ヶ国以上もの国々で取り扱われています。
インスリン不足を補うことはできないため、Ⅰ型糖尿病の治療には使用できません。

糖尿病治療薬の種類についてはこちら

慢性腎臓病とは?

人間の腎臓には、血液中の余計な水分や老廃物を取り除いて尿として排泄させたり、必要な物質を再度取り込んで体内を循環させたりする役割があります。
何らかの原因で腎臓の機能が低下し、これらの働きが正常に行われなくなった状態が腎臓病(または腎不全)です。
正常な場合と比較した時、腎機能のパフォーマンスが30%以下まで低下していると慢性腎臓病と診断されます。
放置してしまうと、尿毒症や高カリウム血症、血圧上昇、心不全といった様々な症状を引き起こし、命を脅かす危険があるので注意が必要です。

腎臓病の治療には、主に透析療法が適用されます。
血管に針を刺して血液を体外へ取り出し、機械で血液をろ過して再び体内へ戻すという治療方法です。
医療機関への入院または定期的な通院が必須となる上に、医療費も高額になるため、患者の心身への負担は計り知れません。

糖尿病を発症するほど高血糖の状態が長く続くと、血糖の排泄に関わる腎臓もダメージを受けて機能が低下してしまいます。
そうして腎臓の働きが著しく弱まった状態が、糖尿病の合併症として発症した慢性腎臓病、すなわち糖尿病性腎症なのです。

カナグル錠の適応追加承認

今回の適応追加承認により、カナグル錠は本来のⅡ型糖尿病に加えて、糖尿病の合併症で発症した慢性腎臓病の治療薬としても使用できるようになりました。
これまでは、糖尿病性腎症を発症した場合は糖尿病の治療と別に腎臓病の治療も行う必要がありましたが、今後はカナグル錠の服用により同時に双方の症状の改善が見込めるようになります。
負担の掛かる透析療法を実施しなくても良くなる可能性が上がることは、つらい糖尿病治療に臨む方々にとって大きな希望となるでしょう。

参考:田辺三菱製薬株式会社「SGLT2阻害剤「カナグル®錠100mg」について日本におけるⅡ型糖尿病を合併する慢性腎臓病の適応追加承認を取得」